デッサンのススメ『シテンを磨く』6-「何も知らない」ものに出会ったように見る

【デッサンのススメ『シテンを磨く』】、とっても久しぶりの更新です。

というのも、「文字ばっかりで読みにくいな~、どうにかしたいな~」と思いながら、ちょっと放置していたらあっと言う間に3ヶ月・・・。

最近会った方に続けてこの話題を振られ、「4月だし!」と奮起しました。お付き合いどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

このデッサンのススメ『シテンを磨く』は、普段、余暇と思われがちなアートの中にビジネスにも役立つことがあるんじゃないかな、という個人的な考え方をまとめています。

 

というのも、

「ものの見方を変える」って「ものの考え方を変える」と同じような意味で使われるくらい「見る力」は大切。

 

でも、「見る方法」って学校や他の場所でもなかなか教わらない。

 

美大生が受験で頑張る基礎的なデッサンは、対象物を見る方法を学ぶことでもあったりします。

「いろんな見方をしたらいいよ」とビジネスの現場でも言われるけれども、「見ていること」をもっと体感できるのがデッサンのいい所。

そんなことを考えながら今週も更新していきます!

 

 

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今週のテーマは『「何も知らない」ものに出会ったように見る』

 

前回(大分前)に載せた

普段馴染みが深いものほど、よく観察しないと思い込みに嵌ってしまう

ことを回避するためにもどうぞ。

 

 

 

何を「何も知らない」か。

例えて言うなら「全く初めて出会ったように」とでも言いましょうか。

 

その物の名称も特徴もよ~く言葉で説明できるものだったとしても、その言葉の部分を無視して「何も知らない」という意識を自分の中に持ってみることです。

 

話が漠然としているので、どんな方にも馴染み深い、ある顔のパーツで考えてみましょう。

 

目です。

t_eye_a13.jpgのサムネール画像

eye_man.jpg

ここで質問、上下の画像、どちらが本物の目でしょうか?

 

 

 

 

答えは簡単、下の画です。

 

でも、最初に自画像を描いてみると、上の目に近い形を描く方が多いです。

 

なぜでしょう??

 

「普段顔なんて見ないからな~」という声も聞こえてきそうですが、目を見る機会って、自分の顔以外もたくさんあったはず・・・。例えば、誰かと話をする時なんか・・・。

 

 

今お隣にいる方の目を覗いてもいいですけど訝しがられるかと思うので、鏡が近くにありましたら、ぜひ自分の目を見て下さいね。

眼球って、結構瞼の内側に入ってません?目単体だと、あんまり対称形じゃなかったりするし。

 

「そんなこと気にする必要もないし」と思われる方もいるかもしれませんが、どんな人も知っているパーツを、あえて観察する時間を作って描いたのに、イラストのようになった、というのは不思議ですよね。

 

これは「絵を描く運動を腕ができないから」ではありません。

 

腕は、頭の中のどこかからきた指令の通りにしか動きませんから。

 

ということは、あなたの頭がイラスト図のような目を、目として認識した上で腕を動かしていた、ということです。しかも、無意識のところで。

 

 「知っている」「見ている」という思いがちょっと強めなために、実際に目の前にある物を見落としてしまっている、概念VS知覚(B.エドワーズ博士の著書より)が起こっていた!ということですね!

 

 

 

 

これがデッサンの話だけならいいのですが、仕事の中で「イメージから抜け出せない」「以前からの思い込みを払拭できない」と、大変ですよね。

 

それならば普段の生活の中で、よく見る練習をすればいい、というのはもちろんなのですが、1枚自画像を描いてみただけでも本当はどの程度見ていたのか、実際の認識の確認を一目でできることがデッサンを描いてみる有益なポイントです。

 

 

もちろん、こんなことを書いている私自身も、普段持っている思い込みはたくさんあって、そのせいで失敗なんかもたくさんしているので、大層なことは言えないのですが、それでも、自分一人でも認識状況を確認できて、反省できるツールがあると便利かと思います。また、「見えていると思っていても見えてないことがある」ということを感覚として持っていると、視点の幅も広がりやすいかな、と思います。

 

 

ちょっとだけでも「へぇ~」と思っていただけると嬉しい、この【シテンを磨く】

懲りずにまた来週も更新するかと思います。そして、近々ギャラリーなどでもワークショップを開催したいな、と考えております。ご案内はおいおいホームページやニュースレターに掲載していきますね。

 

それでは皆様、楽しい週末をお過ごし下さい!